『AIを入れたい』と思ったら最初に読む話第1回/全8回
AIを「調べものに使う」から「仕事を任せる」に変える

AIを「調べもの」に使うだけでは、会社の仕事は変わりません。AI導入とは、必要な情報と指示を入力して、AIに仕事を「任せる」という使い方をすることです。取引先へのお断りのメールを例に、図解で説明します。連載全8回の第1回。
目次
AIには、調べものだけでなく、仕事そのものを任せられます。
AIに仕事を任せるようになると、会社の業務が大きく変わります。
AIを使い始めた方は、たとえばAIに
・「補助金の申請で気をつけることは」
・「お断りのメールの書き方」
といった質問を入力することが多いです。
答えが返ってきて納得しても、そのあとメールを書くのも、書類を作るのも自分です。
調べる時間は減っても、仕事は減りません。
質問や調べものに使うのも、もちろんありです。当社でも使っています。
指示の中身を変えると、同じAIが作業をするようになる
AIに仕事をさせるとは、必要な情報と作業の指示を入力し、できあがった成果物を受け取ることです。
調べものなら、入力するのは質問で、返ってくるのは答えです。
仕事をさせるなら、入力するのは、相手や経緯といった手元の情報と、どう仕上げてほしいかという指示です。返ってくるものも、答えから成果物に変わります。
たとえば、さきほどのお断りのメールで並べてみます。

調べものに使うときは、「お断りのメールの書き方」と入力します。AIからは一般的な例文と注意点が返ってくるため、そこから自分で相手の名前や経緯を入れて書き直すことになります。
仕事をさせるときは、相手の会社名と担当者名、ここまでの経緯、断る理由、代わりに提案できることをまとめます。
そこに「丁寧に、理由は正直に、代案を一つ添えて」という指示を足して入力します。
すると、その相手に宛てた文面の下書きが返ってきます。人がやるのは、下書きを読んで直し、送るかどうかを決めることです。
AIへの指示が変わると、私たちの仕事は「自分で作業する」から「選んで決める」に変わります。情報と指示を入力すれば、AIは質問に答えるだけでなく、頼んだ作業までします。
AIの賢さが変わったわけではありません。AIへの指示(頼み方)を変えただけです。
AIに仕事を「任せる」には、人が「確認」する段階が必ず要る
ただし、AIに仕事をさせるには、1つ条件があります。
AIは間違えます。表の合計を出させると、数字が合わないことさえあります。
事実を取り違えることも、もっともらしい作り話を混ぜることも、英語の直訳のようなちぐはぐな文章を返してくることもあります。
だから、AIに仕事を頼むときには、どの段階で人が確認するかを必ず決めます。図1の「仕事をさせる」で、最後を人の確認にしたのは、そのためです。
お断りのメールなら、相手へ送る前に人が読みます。人が判断して決めるこの段階があって、はじめてAIに仕事を任せられます。
入力してから成果物が出るまではAIに任せ、出てきたものを人が見て決めます。どの仕事を任せるか、人が確認する段階をどう決めるかは、第7回で扱います。
KAISHIN計画のサイトの文章も、AIが下書きを書いています
私たちKAISHIN計画のサイトの文章は、AIが下書きを書き、人が手を入れて仕上げました。この記事も同じ作り方です。AIに入力したのは、そのページで誰に何を伝えるかを書いたメモと、使ってよい事実です。そこに「成果を約束しない、根拠のない言葉を書かない」という決まりを足しました。AIが下書きを出し、人が読んで、実際にあった話を足し、採用するかを決めます。「書き方を教えて」とは聞いていません。採用を決めるのが、人が確認する段階です。
連載全8回で扱う内容の全体像
「AIに仕事を頼む」と一言で言っても、いくつかの判断が要ります。使うAIの選び方に始まり、AIに頼む仕事の決め方、そして会社全体でどう回していくかという順で、この連載を進めていきます。

- AIの種類編(第2回〜第6回):AIの違いは2つあります。1つは、ChatGPT や Claude のような、どの会社のサービスを使うかの違い。もう1つは、質問に答える・作業をする・役割を担うという、させる仕事の違いです。どの会社のサービスを使っても、させる仕事の種類は同じ3つです。この連載で「種類」と呼ぶのは後のほうで、これが分かれば、新しいサービスのニュースに振り回されにくくなります。第2回で3つの種類の全体像を示し、第3回から種類ごとに見ていきます。第6回は、どの種類にも収まらないものの、仕事の役に立つ2つのAIを扱います。
- 任せ方編(第7回):どの仕事をAIに頼み、AIからの成果物をどう受け取り、どの段階で人が判断するか。今回お話しした「人が確認する段階」をどう決めるかを、ここで説明します。
- 組織編(第8回):AIに任せる範囲を、1つの仕事から会社全体へと広げます。
当社が、AIに仕事を分けて任せ(世間で「AI社員」と呼ばれている使い方です)、会社を回しているやり方を、経営者の仕事として書きます。
各回の題は次のとおりです。
- 第1回 AIを「調べものに使う」から「仕事を任せる」に変える(この記事)
- 第2回 AIに任せる仕事は3種類——相談する・作業する・役割を担う
- 第3回 AIとの会話を”毎回ゼロから”にしない
- 第4回 画面や書類の作業を、AIが自分で進める
- 第5回 役割を担うAI——AIは勝手には育たない。手順書で育てる
- 第6回 資料の中だけで答えるAI、調べて報告書を書くAI
- 第7回 AIに仕事を任せる——導入に必要な4つのこと
- 第8回 AIで部署をつくる
最後に一つ、質問です
あなたの会社で、毎週同じ手順で繰り返している仕事はどれですか。
1つ思い浮かべておくと、第2回からの話が、自分の会社の話として読めます。
どの仕事をAIに頼めるか、自社の場合で整理したいときは、AI活用支援のページ(初回相談無料)をご覧ください。
次回は第2回「AIに任せる仕事は3種類——相談する・作業する・役割を担う」です。各サービスの性格と、させる仕事の種類で分けて見ると、自社がどれを選べばよいかが分かります。
この記事のまとめ
- AIには、調べものだけでなく、仕事そのものを任せられます。
- 情報と指示を入力すれば、AIは頼んだ作業をして成果物を返します。
- AIは間違えるため、仕事を任せるには人が確認する段階が必ず要ります。
- KAISHIN計画のサイトの文章も、AIが下書きを書き、人が確認して仕上げています。
- 連載全8回で、使うAIの選び方、頼む仕事の決め方、会社全体で回す順に進めます。
この連載の記事
全8回・公開2回- 第1回AIを「調べものに使う」から「仕事を任せる」に変えるこの記事
- 第2回AIに任せる仕事は3種類——相談する・作業する・役割を担う
- 第3回第3回 AIとの会話を"毎回ゼロから"にしない予定
- 第4回第4回 画面や書類の作業を、AIが自分で進める予定
- 第5回第5回 役割を担うAI——AIは勝手には育たない。手順書で育てる予定
- 第6回第6回 資料の中だけで答えるAI、調べて報告書を書くAI予定
- 第7回第7回 AIに仕事を任せる——導入に必要な4つのこと予定
- 第8回第8回 AIで部署をつくる予定